オルタナ・グランジアイドル?ヤなことそっとミュート – 「HOLY GRAiL」感想

オルタナ・グランジアイドル?ヤなことそっとミュート – 「HOLY GRAiL」感想

みなさまおつかれさまです。
先日、あるアイドルグループのワンマンライブを観にいってきました。

その名も「ヤなことそっとミュート
ご存知ですか?
会場の赤坂ブリッツを2階席まで満員にして盛り上げた、今グイグイ来てるグループです。

管理人の地味なバンド、新譜の視聴だけでもしてください、現在ライブがなくてCDしかバンドの収益がありません

“ヤナミュー”こと「ヤなことそっとミュート」とは?

作曲家・アレンジャーのタニヤマヒロアキ、エンジニアの慎秀範(代表)と林惇太からなるチーム「DCG ENTERTAINMENT」がプロデュースを担っている[2]。

コンセプトは「ヤなことだらけの日常をそっとミュートしても何も解決しないんだけど、とりあえずロックサウンドに切ないメロディーを乗せて歌ってみる事にする。」[3]。グランジやシューゲイザーといったオルタナティブ・ロックを主体とする。

ヤなことそっとミュート – Wikipedia

2016年3月にメンバー募集し、6月に初ライブと、2017年12月の現在からしてまだ最近結成されたばかり、という印象です。

しかし既に赤坂ブリッツというキャパ1,000人超クラスのワンマンをやってのける人気っぷり。

2017/12/22、この日は2ndワンマンライブだったのですが、レーザーやLEDをからめた抑制の効いた照明演出、バンドセットでの迫力の生演奏、と盛りだくさんの内容でした。

過剰過ぎないコンセプトアイドル

最初、何かで聞いてその名は知っており、MVを観ての感想は「オルタナ・グランジアイドルか~。なかなかカッコイイな~」くらいでした。

ちょうどその頃、アイドルフェスのTIF2017に行くので、いろいろなアイドルさんのMVを観て予習していたのです。
その中でも飛びぬけて派手なコンセプトというわけでもない印象でした。

今になって思えば、奇抜さとプリティさの過剰競争な昨今のアイドル群の洗礼を浴びて、なかなかその素晴らしさにたどり着けずいたように思います。

その後、じわじわ気になってきていつの間にかどっぷりはまってしまっていた…という感じです。
なかでもこの曲を繰り返し聴くようになりました。とりわけお気に入りです。

「AWAKE」

この曲が、まあ、かっこいいんですよ~。

イントロからのベースフレーズがじわじわと緊張感を盛り上げ、サビのギターリフの繰り返しはこれぞオルタナ!そのキャッチーな気持ちよさに思わず頭がゆれます。

そして2:57からの展開はかゆいところに手がとどくような「まってました!」のアレンジ。
響き渡るギターフレーズに開放された緊張感が解き放たれるようで、ステージを駆け舞うようなメンバーの振り付けも合間ってカタルシス抜群です。

こういった曲、世のアイドルの楽曲のように、ファンがすぐ沸けるような即効性のある楽曲(例:イエーイみんな~一緒にノリノリでダンスしようね~的な…)とはもしかしたら若干方向性が違うのかもしれません。

しかし、1年、3年、5年、10年と経っても何度も聴けるポテンシャルがある、そういうタイプではないでしょうか。

ちなみにヤナミューさん。YouTubeバリバリのこのご時勢にライブ音源盤(!)も売ってます。凛々しい…。

ヤなことそっとミュート – オフィシャルサイト

メンバー

メンバーは以下4名。

間宮 まに 間宮まに@ヤナミュー
なでしこ なでしこ@ヤナミュー
南 一花 南一花@ヤナミュー
レナ レナ@ヤナミュー
ヤなことそっとミュート – Wikipedia

ちなみにまったくの個人的な感想ですが、メンバーの一人がどこかで見た顔だなーと思ってググってみたら、
奈良美智(ならよしとも)さんという芸術家の方の作品の女の子にそっくりで、勝手に「これだ!」ってなりました。

関連リンク

歌詞がせつない…「HOLY GRAiL」

ヤナミュー2ndワンマン、赤坂ブリッツ公演に合わせ、限定販売されたシングル「echoes」。
こちら収録の「HOLY GRAiL」の感想です。

ホーリーグレイルとはなんぞや?

と、調べたところ、これは聖杯であると。
西欧(ことにキリスト教)文化圏では至上のアイテムでもあり、某ダヴィンチ・コードでは女性性の象徴とも語られておりました。

ちなみに1stアルバム「BUBBLE」収録の「Lily」もずばりユリがモチーフにされ、
これもキリスト教文化圏ではある意味があり、歌詞の内容に裏読み想像を掻き立てる要素ですね。

「さよならだ」

HOLY GRAiL、テンポの良い4分の3拍子にきらびやかなバンドアンサンブルがフィーチャーされた耳なじみの良いアレンジですが、
シリアスなモチーフを感じさせる歌詞が対照的です。

サビにはよりによって「さよならだ」という、何か(誰か)との決別を告げる句が来て「ハッ」とさせられます。

クリスマス(ちなみにクリスマスというワードはワンマンでは出てません)の時期にワンマンライブで新曲を買ったら、
サビで「さよならだ」ですからね。

なんとなれば、
「寒い季節も大好きなみんなと過ごせば暖かいね」
みたいな歌詞がアイドルに限らずJPOPのひとつ王道ではあります。

ぱっと聞くと、今の季節ということでどうしても冬の情景が浮かびます(が、冬というワードは出てきません)。
私が気になったワードを抜き出すと以下のような感じです。

(狂い咲く恋)(透明な季節に)
(つづく扉の鍵)(それが”痛み”でもよかった)
(告げたら 壊れるのだろう)

(さよならだ I will go my way)

(純粋さをとるよ きみを)(傷つけることになるのが)(いやだ)

(さよならだ ’cause I love you)

(春の小径を)

(手を繋ぎ 歩む幻)

(さよなら 捧げるよ 愛の証)
(きみこそ 我がHOLY GRAiL)

(光さやけき)
(きみこそ HOLY GRAiL)

作詞:ニイ マリコ@ninmari

作詞のニイマリコ先生は上記の「AWAKE」も手がけられた方です。

この歌詞には何か共感を寄せたくなるような「こだわり」「美学」のようなものを感じました。
しかし、もし友人や恋人同士などの親しい関係であれば、一方には身勝手なものかもしれませんね。

それは「純粋さ」なのかもしれませんし、「さよならだ」と別れを告げる理由であるかもしれません。
愛しているからさよならだ、という意味のフレーズも出てきます。

「光さやけき」というのは聞いたことがない言葉ですが、清い、明るくすがすがしい、といった意味だそうです。

「春の小径(こみち)を」と、冬どころか春というワードが出てきます。
直後に「手を繋ぎ 歩む幻」と、続くので、まるで

「春に手を繋ぎ歩む明るく清清しい未来、しかしそれは幻…」

というような印象を受けます。

いろいろな想像を掻き立てる歌詞です。

個人的には「お互い譲れない価値観故の、最愛の恋人との別れ」、
もしくは
満たしきらないうちの(故に下り坂にならなず)最愛の状態のまま離別、その理想視」、
といったものを想像しました。

みなさんはいかがでしょうか?

ヤナミューというグループの真摯で真っ当な良さが滲み出すような歌詞です。
“楽曲派”なサウンドと共に、歌詞に今後も注目したいです。

それでは~。

作詞家が語る「HOLY GRAiL」とは何か?

ヤなことそっとミュート 2018.02.15 トークイベント「About a echoes」@ 新宿ロフトプラスワン、こちらの質問コーナーにて「ホーリーグレイルとは何か?」について作詞のニイマリコ先生やメンバーが話している動画です。